浅野川桜夕景 藍鼠 水柿

気象台発表による開花宣言から約一週間後の夜のはじめ。満開のまま、まだまだ散る気配のない桜。 対岸の料亭の明りが川面を鈍い銀色に照らして、夜はまた夜ならではの趣。 (藍鼠の水面に水柿色に浮かぶ花。日本の伝統色にはこういう微妙な色がとても豊富にある) 
薄暗がりに座ってふんわり花を見上げるこのお二人もそうだけど、金澤では「本来の花見」を楽しんでいる姿を多く見かける。(私が四半世紀以上暮らした東京の花見は 「この一瞬を楽しまないと」と言わんばかりのドンチャン騒ぎが今でも一般的だろうなぁ・・・(^^ゞ) 

 昔からよく「金澤には大きなお祭りがない」と言われるけれど(例えば百万石祭りはパレード的な要素がメイン)お祭りの重要な効能「日常(ケ)から非日常(ハレ)への移行」は実は日々の暮らしの中、こういう光景の中で佇んでいる人の心の内面で起こっている・・・んだと思う。
 別段、賑やかな「桜祭り」などをしなくても 「こんなシチュエーションでこんな光景を見上げていれば」充分に非日常(ハレ)の体験。
 金澤は日常に非日常が、暮らしの中に夢幻が入り混じる街。
 2012/04/16 18:59 この場所を中心に 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示

浅野川桜夕景 瑠璃紺 薄花桜

旧市街を流れる2つの川沿いは、何処の街でもそうであるように桜の見所にもなる。 
 ただ他の街とちょっと違うのは「ただそれだけをズラッと植えない」こと。 
この桜のすぐ近く、ひがし茶屋街では藩政期、桜と柳が交互に配置されていたそうだ。 「色合いも良く、それはそれは優雅な景色だったと思いますよ」とこの街の歴史に詳しい方が仰っていた。 
豊富な財力で「お城から桜霞を遠景を楽しむため」にあちらこちらに桜を植えたりしたけど「桜だらけ」の場所は特に無い。 

浅野川沿いのこの場所もそもそも並木としては短い。対岸は半分松並木。そして橋の袂には柳、枝垂れ桜・・・・ こういう街の桜は物量よりも配置と枝ぶりの妙。 
役者揃いの浅野川大橋〜梅ノ橋間の桜の中でも‘アタマ一つ’抜き出ている(と勝手に私が思っている) この桜の写真を友人が「日本画の様ですね」と言うので 「それなら・・」とタイトルにもこの景色に近い日本の色の名前を探してあててみた。 

沢山の微妙な色‘その名づけの妙’に感心すると同時に 「それだけ淡く微妙な配色の風景の中に暮らし、僅かな色の変化を慈しんでいたんだろうなぁ」と、羨ましくもなった。 
薄闇に沈む桜を眺めながらそんな時代にちょっと想いを馳せるのも金澤らしい花見。 
2012年04月12日18時42分撮影 この場所を中心に 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示

花待月 立待月

増しに蕾も膨らんで、間もなく開花を迎えそうな4月初めの夜。
(金澤では例年桜の開花は4月の上旬あたり)芽吹いてしまえばあっという間に空は覆われて・・・こんな風には眺めるコトの出来ない「枝越しの月」 
この日は雨が降ったり止んだり。速く流れる雲から月が出たり入ったり。 浅野川沿いに並んだお花見のボンボリに濡れた枝が艷めき、月の光が透明な大気、真っ白い雲に淡く散乱し・・・鈍く沈んだ金と銀の対比を見せていて思わず足を止めた。 

まだまだ力強く輝く17夜月(立待月)が、蕾のアタマをやんわりと引っ張っている様。(今年は満月を過ぎての開花だったので本格的な桜と月の共演はなかったけど) 
立待月は「月がもうじき出そうだなぁ・・」と立って待っている間にもう出てくる月、という意だけど(翌日は座って待つ居待月、さらに寝て待つ寝待月・・・昔の月待ちは優雅だ)
 この月は「蕾はどれくらい膨らんだかな・・開花はいつかな」と桜の枝を見上げた時、一緒に思わず目にしてしみじみ眺める月。花待月。 2012/04/07 23:55  
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金澤流儀 桜巡り

その昔兼好法師が徒然草に「桜は咲き始めた頃から雨風が続いて・・心忙しく散り終わってしまう」
と書き記しているけど(第19段)春の嵐があまり吹かない金澤では桜を楽しめる期間が比較的長い。(経験的には東京よりも一週間くらい、開花から散るまでが長い)
藩政期にお殿様が城から桜霞を観るために遠方に植えた桜、兼六園に集められた様々な桜(ここにしかないモノも含め約40種類)軍都として栄えた頃、戦勝記念とし て植えられた桜、その後もいろんな機会に植えられた桜達・・・そして東西に三本の台地が指を伸ばす地形の程よい高低差、日照差も加わり細やかな「桜ぷろぐらむ」がゆっくりゆっくり進行します。
左)西外惣構堀、柿木畠入り口付近 右)W坂

まずは細部に宿る金澤の桜。
椿の葉の上にも花片が載って・・・風が弱いコトがよく分かる光景。
マンホールも花化粧。春の優しい小糠雨が花の色を鮮やかに、そして蒔絵の漆のように花びらを定着させて。
これも花見、桜風情。(兼好法師が現代に生きていたら書き記しそう!?)
金澤の伝統工芸はこういう何気ない日常からも日々新たな影響を受けているのだと思います。


わざわざ何処かへ出かけなくとも旧市街全体のあちらこちらに桜の見所が出現する金澤。兼六園から徒歩15分ほどの住宅地笠舞、小立野段丘中腹にあるこの公園もささやかな桜の名所。
無風の夜、柔らかい柔らかい雨が音もなく降って花々をしっとり濡らて、艶めきながら徐々に徐々に・・・枝垂れてくる桜を眺めるのも金澤らしい味わい。(ここで風が吹けばパラパラと散りゆくトコロだろうけど、それは滅多にない)


兼六園の脇、上坂口を降りた辺りから桜ヶ岡口方面を眺める。
兼六坂との間に咲く、ほぼ満開を迎えたバラエティーに富んだ桜達。夜の冷え込みが花を締めるのか?花片が枝から離れるコトはあまりなく、道はキレイなまま。

石川橋(兼六園と金沢城を繋ぐ橋)から眺める桜揃え。
金澤での桜の醍醐味の一つ、遠近に散らばって配置された桜風景。こちらは大きく言えば犀川方面。振り返ると卯辰山方面。どちらも桜で溢れて・・・。ここから毎年の桜始終を眺めるのはとても幸せ。ちょっぴりお殿様気分♫
夜になると石垣の下、その昔はお堀だった沈床園はお花見の特等席に兼六園も夜桜見物でにぎわい(兼六園は桜の見頃に合わせて一週間ライトアップ無料開放。霞が池に迫り出す内橋亭をステージに一流奏者によるミニコンサート・・・つくづく豊かな街)

この時期、街中あちらこちらに桜の園が展開して、辺り一帯が桜の華やかさ、香りに包まれます。
通勤、通学、散歩コースとしても愛用している人達も大勢いらっしゃる桜名所の一つ、犀川桜橋〜大橋間の桜並木。(大橋は金澤の繁華街の一つ、片町に隣接する交通量の多い橋)
一年中この道を通って四季を味わう・・・金澤に暮らす日々の何気ない贅沢の一つです。
花片はほとんど真っ直ぐ下に落ちて、吹き寄せられるコトもなく、徐々に綺麗な絨毯を出現させます。


男川犀川(左)女川浅野川(右)二つの川原にも淡いピンクの絨毯が敷き詰められ・・・まだまだ桜の宴が楽しめます。
観ている人達も含め全体が幸せな桜景色。
二つの川がなぜ男女に例えられるのか・・・それぞれに金澤らしい魅力的な川の違いがこの写真からもなんとな〜くお分かりになるでしょうか?(空の開け具合、川岸の様子、桜の枝振りも違います・・そして当然川音も全然違います)


左)そろそろ地面に落ちている花片の方が多くなる頃。
しかし・・・満開と同じ位、あるいはそれ以上魅力的な光景。こちらは浅野川

右)石垣の僅かな段差にも花片が積み重なって延々続くピンクのラインが・・・こちらは犀川




笠舞の公園もすっかり桜化粧。ちょっと幻想的な雰囲気になってきました。


十日後くらいにはこんな風に・・・今度は萼から下が、辺り一面に散らばります。これも趣のある桜の余韻。


それからさらに約7日・・・八重桜の花が散るころに今度は兼六園菊桜が丁度見頃を迎え・・・一ヶ月近くにわたって続いた「桜ぷろぐらむ」はフィナーレを迎えます。
もう五月。ツツジ、菖蒲、杜若、そして竹の子の季節に金澤は入っていきます。

兼好法師は半ば逆説的に「桜の花は盛りだけを賞美するものだろうか・・散り萎れ残る庭も美しい」と書き記しましたが・・・(第137段)
金澤では、桜はゆっくりゆっくり移り変わり様々な賞美に値する景色をつくり・・・とりわけ意識せずとも長い間に渡って私達を楽しませてくれます。

いらっしゃる方は何度でも、可能ならある程度滞在されて、この・・・金澤ならではの桜風姿をお楽しみ下さい。

照波春景 浅野川


全国的に天候の優れなかった2010年の春、
金澤の桜も満開を迎えた直後から何日も激しい風雨に曝され・・・・
これはその約10日後、やっと浅野川の水も綺麗になった日。
(川の水は雨が上がってしばらく経たないと綺麗にならないのです)
連日連夜の激しい雨風は、タップリと花を付けた桜の枝を揺らし続け
大分花は散ってしまったけど、それでもまだ夢のような穏やかな景色。
(逆にかなりの悪条件の中、よくこれだけ花が残っていたモノ。
ここには写っていないけど、川辺は綺麗な桜の花弁の絨毯に覆われている
その場に佇んでいる人達にはモチロン、
「きらめくさざれ波を見ながら、桜の下で佇む人達の風景」
を眺めているコチラも、充分に心地良い。
遥か昔から人々の心を癒し続けている水音(微かに聴こえます)
と共に夢の様な、そして何処か懐かしい「照波春景」をご覧下さい。
(タイトルは、この辺りも舞台になった泉鏡花「照葉狂言」に掛けて)
曲はこの流れをず〜っと眺めて、その印象を表現したピアノ曲「Ripple」
アルバムvesperに収録) 2010年4月18日撮影
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桜点描 浅野川

金澤の桜はソメイヨシノの他にも種類が豊富で、さらにそれぞれが旧市街の高低差、日照差のある斜面に少しつづ時間をずらして咲くので「一気に咲いて一気に散る」という「一般的な桜の概念」とは少々趣が異なる。
例えば兼六園と金沢城を結ぶ石川橋から、本丸跡から。例えば卯辰山の中腹から。
近景に遠景に少しづつズレて様々な桜が咲き競う光景を眺めるのは、金澤らしい桜の楽しみ方。
そういう時期も過ぎて・・・花片が地面を均等に埋め尽くす頃、あちこちの地面がパッと明るくなって、地面から枝から濃い桜の香りも漂って、満開の頃とはまた違った華やいだ雰囲気に包まれる。
散りゆく桜は雪に例えられるけど、なるほど花びらの絨毯は初雪が薄く積もった様にも見える。
静かに降った牡丹雪(フワフワした大きな雪)が溶けずにそのまま地面に張り付いた様。09年4月14日16時24分撮影
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桜の中の賢人達 犀川

金澤では「春の嵐」があまり吹かず、 桜の花々はその存在を充分に全うし、ゆっくりと枝から離れていく。
微かな風に少しずつ、ハラハラと舞い落ちてその場に薄く積もる。
一般的に「桜の花は一斉に咲いて、パッと散る」コトになっているけど金澤では多くの場合、咲いた花は、微かな風にあるいは無風の中に、ゆっくりゆっくり舞い落ちる。
だから地面が明るくなる位に花が散っても「まだまだ枝に花が沢山付いている時期」があって、その頃も味わい深い花見頃。
「そんな頃を見計らって」近所の人達だろうか・・・テーブルと椅子とちょっとしたセットを持ち込んで、優雅な午後の花見の宴を開かれている。
桜風姿に溶け込んで・・・
ちょっとだけ「掛け軸の中で清談を交わす賢人達」のようにも見える。
(08年4月11日13時34分撮影)
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